東京大学史料編纂所

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醍醐寺史料調査

 一九八〇年八月十七日より二十一日まで五日間、京都市伏見区醍醐伽藍町の醍醐寺に出張し、継続事業の史料調査として、第一四一函から一四七函、一八四函及び八八函の調査を行ない、マイクロフィルム一〇鑵に撮影し収めた。
 このうち一四三函から一四七函は、明治末年に日野の田中勘兵衛が、貴重なものとして撰び出したもので、実運自筆玄秘抄や成賢・憲深の伝授にかかる報恩院流として重要な聖教で満済や義演の奥書のあるもの、及び奈良・平安時代の經巻で万葉仮名の訓や読点を記したものが含まれる。
 一八四函は義演の法会関係の別記(紙背文書を含む)である。
 また八八函の真言宗血脉報恩院流至有雅 二幅、九三函十六号元永元年八月 日権少僧都勝覚解案、同紙背延久六年八月三日少納言兼侍従安芸介藤原某解案(前欠)、五〇九函十四号元弘三年十二月河輪田本庄年貢犯用殺害人張本注進状案を4×5モノクロで、一三四函二九・三十号の明治末年の上・下醍醐の境内・殿舎を彩色で描いた図の中から四枚を4×5カラーで撮影した。
                  (岡田隆夫・酒井信彦・針生邦男・中藤靖之)


『東京大学史料編纂所報』第16号p.78